Raycast は macOS / Windows [1] 向けのランチャーアプリです。
類似ツールとしては Apple 謹製の Spotlight や Alfred があります。どちらも使ってきましたが、今は Raycast に落ち着き、推しツールになっています。 Pro + Advanced AI プランを利用しています。
今回はそんな Raycast の普段の使い方を、実際のプロンプトも交えながらまとめます!
Raycast の機能
Raycast は本当に多機能で、「思いついたことは大体できるのでは?」と思うほど柔軟です。 このあとにも登場するので、先に自分がよく使っている機能をざっと挙げておきます。
- アプリの起動 / Hotkey
- アプリの起動を行える
- Hotkey を設定できる
- Clipboard history
- クリップボードの履歴が確認できる
- Snippets
- 任意のスニペットを保存できる
- プレースホルダーを活用して動的なスニペットを作成可能
- Window Management
- ウィンドウの配置を即座に変更することができる
- Raycast Extension
- Raycast のコマンドを作成できる
- AI Chat
- 独立したウィンドウの Chat UI を利用して、さまざまな LLM と対話できる
- 会話の途中でモデルを切り替え可能
- 画像生成にも対応
- AI Commands
- プリセットまたはカスタムのプロンプトで、LLM を呼び出せる
- AI Extensions
@-mention形式のコマンドを利用できる- プリセット、サードパーティ、独自のコマンドを作成可能
- MCP を利用して、MCP クライアントとしても使える
- Raycast Companion (Browser Extension)
- Web ページの内容をデスクトップアプリ側のコンテキストに取り込めるブラウザ拡張
- Raycast Note
- シンプルなノートを別ウィンドウで開ける
- 常に最前面表示にできたり、画面共有時に映らない設定が可能
ユースケース例
Web ページの要約・説明
Raycast Companion を使って、開いているページの要約や説明をよく行います。
Raycast Companion (ブラウザ拡張機能)
例えば、独自の AI Commands を作成し、 Alt + E で「Web ページ全体をわかりやすく解説する」プロンプトを実行できるようにしています。
コマンド実行例
実際のプロンプトは下記です。 自分の場合、記事のコンテキストから出力してほしいのは「要約」よりも「解説」なので、わかりやすい説明をするように指示しています。
プロンプト例
以下の文章の内容を <rules /> に従って分かりやすく解説してください。
<content>{browser-tab}</content>
<rules>
- 日本語で出力してください
- <format /> を参考に情報を配置してください
</rules>
<format>
# [記事の内容を総合的にまとめたわかりやすい見出しをつけてください]
## タグ
[この記事について、保管用にタグを付けるとしたらどのようなタグをつけるべきか考えてください。タグは英語で、最大3つ程度にしてください]
## ひとことまとめ
[記事の要旨を分かりやすく一言でいうとどうなるか、考えて書いてください]
## ポイント
[ここは覚えておくべき!という重要な点を分かりやすくまとめてください。体言止めは避け、文章として読みやすくなるように心がけてください。]
## 解説
[content の内容を分かりやすく解説してください。]
</format>
プロンプト例にあるように、{browser-tab} プレースホルダーを配置することで、ブラウザ拡張経由で取得したページ内容をコンテキストに含めることができます。
また {selection} プレースホルダーを使えば、選択範囲をクリップボード経由でコンテキストに含めることができるので、ページ全体ではなく一部を対象にすることも可能です。
その他の利用可能なプレースホルダーに関しては Dynamic Placeholders を参照してください。
各種基盤モデルの簡易比較
AI Chat では、複数のモデルを手早く切り替えられます。
同じプロンプトを使って、各モデルの応答の違いを手軽に比較・テストすることも可能です。
さらに、推論モード(思考の有無など)も会話の途中で切り替えられるため、依頼内容に合わせて最適なモデルや設定へ柔軟に切り替えられます。
AI Chat のモデル選択
画像の圧縮
自分は Obsidian で個人的なノートやブログ記事を管理しています。ノート内で画像を貼り付ける際には、ローカル保存ではなくプライベートなクラウドストレージへアップロードしています。できるだけファイルサイズを小さくしたいので、すぐに圧縮できる導線が欲しくなりました。
そこで Raycast Extension を自作し、クリップボードにコピーした画像を 1 コマンドで圧縮して貼り付けられるようにしています。
画像圧縮の例
詳細は別記事にまとめています。興味があればどうぞ。
ブックマーク記事を検索する
自分がブックマークした記事を、ハイブリッド検索できる仕組みを構築しています。
検索までの距離を縮めるため、Raycast から直接検索できるようにしました。Raycast の MCP サーバー連携機能で実現しています。
クエリ実行例
こちらも詳細は別記事にまとめています。
「これ英語でなんていう?」
すごくちょっとした表現を「カジュアルな英語で言うとしたら何て言うんだろう?」って思うとき、あると思います。
AI Commands を使って、単語やフレーズの英語表現を例文付きで取得するコマンドを作成しています。 例えば、以下では「ああ、やっぱこっちにする」を英語でカジュアルにいうとどうなるかを試した例です。
「ああ、やっぱこっちにする」を英語でいうと?
プロンプト例は以下のとおりです(ほぼ LLM に作ってもらいました)。 {argument name="Word or Phrase"} プレースホルダーで引数を受け取り、英語で表現したい内容を書き込むとコマンドとして実行されます。
プロンプト例
# あなたの役割
あなたは、親切で知識豊富な英語学習アシスタントです。ユーザーが日本語で尋ねた単語、フレーズ、または文を、自然で一般的な英語に翻訳し、分かりやすく解説することが主な役割です。
# 指示
ユーザーが「〇〇は英語でなんていう?」や、それに類する質問(例: 「△△を英語で教えて」)をした場合、以下のステップに従って回答を生成してください。
1. **意味の理解:** ユーザーが提示した日本語の表現の核となる意味やニュアンス、想定される文脈を正確に把握します。
2. **複数の翻訳候補:**
* 可能であれば、1〜3つの自然な英語の翻訳候補を提示してください。
* それぞれの候補が持つニュアンスの違いや、使われる状況の違い(例: カジュアル/フォーマル、書き言葉/話し言葉)を簡潔に説明してください。
3. **最も一般的な表現の推奨:** 提示した候補の中で、最も一般的、または自然に聞こえる表現を推奨してください。
4. **具体的な例文:**
* 主要な翻訳候補それぞれについて、実際の使い方を示すシンプルで実用的な例文を最低1つ提示してください。
* 理解を助けるために、英語の例文に対応する自然な日本語訳も併記してください。
5. **補足情報 (任意):**
* 必要に応じて、類義語、反意語、関連表現などを提示し、ユーザーの語彙力向上を支援してください。
* 直訳が難しい場合や、文化的な背景知識が必要な場合は、簡単な解説を加えてください。
* 文法的な注意点があれば、簡潔に指摘してください。
6. **分かりやすさ:** 専門用語を避け、簡潔で平易な言葉を使って説明してください。
7. **トーン:** 常に親しみやすく、丁寧で、学習者を励ますような口調を心がけてください。
# 回答例 (ユーザーが「よろしくお願いします」と尋ねた場合)
「よろしくお願いします」は日本語特有の便利な表現で、状況によって英語での言い方が大きく変わりますね。いくつか代表的な場面での言い方をご紹介します。
1. **何かを依頼するとき:**
* **Thank you in advance.** (ありがとうございます。) - 事前にお礼を言うことで「よろしくお願いします」のニュアンスを伝える、やや丁寧な表現です。
* 例文: *Could you review this document? Thank you in advance.* (この書類を確認していただけますか?よろしくお願いします。)
* **I appreciate your help.** (ご協力に感謝します。)
* 例文: *I appreciate your help with this matter.* (この件でのご協力、よろしくお願いします。)
* よりカジュアルな場面では、シンプルに **Thank you.** や **Thanks.** でも伝わります。
2. **自己紹介のとき:**
* **Nice to meet you.** (はじめまして。) - 初対面の挨拶として最も一般的です。
* **It's a pleasure to work with you.** (一緒にお仕事できることを嬉しく思います。) - ビジネスシーンなどで使えます。
* **I look forward to working with you.** (これから一緒に働くのを楽しみにしています。) - 今後の関係性について述べる丁寧な表現です。
3. **何かを任せるとき:**
* **I'm counting on you.** (頼りにしています。)
* 例文: *Please take care of this task. I'm counting on you.* (このタスクをお願いします。頼りにしていますよ。)
* **I'll leave it to you.** (お任せします。)
**ポイント:**
「よろしくお願いします」の直訳はありません。具体的な状況に合わせて、「感謝」「期待」「依頼」などの気持ちを伝える英語表現を選ぶのが自然です。
# 制約
* 不自然に聞こえる直訳は避けてください。
* 説明が冗長にならないように、実用的な情報に焦点を当ててください。
* 説明に不要な限り、複雑な文法用語の使用は避けてください。
ユーザー:
{argument name="Word or Phrase"} は英語で何という?
プロンプトのスニペット化
LLM を使う場面は多様です。たとえば ChatGPT の Web UI、Claude の Desktop App、Raycast の AI Chat、あるいはエディタ内からの指示など。
そんなとき、汎用的なプロンプトはスニペット化して Raycast の Snippets に保存しています。たとえば「文章のトーンを整える」ためのプロンプトなどです。
プロンプト例
これから渡す文章 <content /> を、トーンのガイドライン <tone /> に沿った文章になるように修正してください。
<tone>[トーンのガイドラインを入れる]</tone>
<content>{argument}</content>
おわりに
Raycast は、発想次第であらゆることが実現できます。自分もまだまだ使いこなせていないと感じていて、先駆者の使い方から日々学んでいます。
これからも AI Agent との組み合わせなど、活用の幅を広げていけたらと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました!